悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~


「え、そうなんですか?」

「そうなのよー。出張ってわけでもないみたいだしね。病気かしら?」


香川さんは腕を組み、首を傾げて言う。

灯里は思わず息を飲んだ。


悪魔でも病気になるのだろうか?

この時期だと風邪かインフルエンザか、もしくはノロか……。

でもそんな下等な菌にやられるほど悪魔はヤワではないような気もする。

と思いつつもちょっと心配になる。


灯里は踵を返し、経営企画室へと向かった。

近くの席に座っていた都筑さんに声をかける。


「あの、すみません」

「なにかしら?」


灯里の声に、都筑さんは髪を揺らして顔を上げた。

いつもと変わらない冷静な顔を見つつ、灯里は口を開いた。


「水澤くんが火曜から来てないって聞いたんですけど……」


灯里が言うと、都筑さんは不思議そうに首を傾げた。

しばし灯里を見つめ、口を開く。



「あら、知らないの? ……水澤君、今月末で退職するのよ」





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