悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
長谷部の言葉に、玲士はしばし考えた後、頷いた。
「ご一緒させてください」
「おー、わかった。じゃあ上司にそう言っとくわ」
長谷部は途中の会議室の前で足を止め、じゃあなと言い中に入っていく。
玲士は軽く一礼し再び歩き出した。
前の会社とは違い、この職場はかなり忙しい。
状況が目まぐるしく変化するため、自ら動き、自ら求めないと何も得ることができない。
ここでは玲士の知識や技能を最大限に生かすことができる。
一日があっという間に過ぎ、時間がいくらあっても足りない。
忙しいが、とてもやりがいはある。
玲士は歩きながら自分の右手をちらりと見た。
右手の薬指には銀の指輪が光っている。
「……灯里……」
玲士は脳裏に灯里の顔を思い描いた。
――――明日は15日。
ようやく灯里に会うことができる。