悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
灯里の脳裏に父の顔が浮かぶ。
灯里は言葉を濁し、困ったように視線を右往左往させた。
その様子に玲士の瞳がすっと冷たく細められる。
「なに? なんか不都合でもあるわけ?」
「不都合っていうか……ちょっと、いやかなり覚悟がいるかも」
「……どういうこと?」
眉根を寄せた玲士に、灯里ははぁとため息をついた。
隠したところでいつかは通らなければならない道だ。
ならばもう言っておいた方がいいだろう。
「実はね。あのクリスマスの時、家に連絡してなくて……」
「……」
「2泊無断外泊して、しかも玲士のコートを着て帰っちゃったからうちの父親が物凄く怒ってて」
「……」
「絶対に許さん、うちの敷居は跨がせん。もしうちに来たら殴ってやる! って言ってるの」
「……っ」
玲士は灯里の言葉にみるみるうちに色を失った。
悪魔がここまで蒼白な顔になるのを灯里は見たことがない。
やがて氷のような沈黙の後。
玲士は肩を震わせ、喉の奥から押し出すような声で言った。