愛を教えて ―番外編―
【未来―2―】
「あ、和ちゃんだ」
「藤ちゃんもいるよ!」
結人と大樹の兄弟は、車道を挟んだ遊歩道を見つめて声を上げた。
エンジ色のスモックを着たふたりの少女が、息を切らせながら並木の間を駆け抜けて来る。
遠目には見分けの付かないふたりだ。手を繋ぎ、お揃いの黄色い帽子をかぶり、靴下とシューズは女の子向けの人気アニメキャラクターが付いていた。
「ユウくん、ヒロくん、待ったぁ~」
「えっとぉ……こんにちは! あの……パパとママもすぐに来ます」
きゃあきゃあ騒いですぐに結人らと追いかけっこを始めたのは、姉の和音である。
一方、卓巳と万里子の前に立ち、ピョコンと頭を下げて挨拶をしたのが、妹の藤音だった。一卵性双生児で見た目はそっくりだが、性格はまるで違う。
「あら、幼稚園の帰りにそのまま来たの? お着替えする時間がなかったかしら?」
万里子はひざまずき、藤音の幼稚園バッグを下ろしてやりながら問いかけた。
「あのね。お迎えが遅かったの。それでね。ママが怒ってて……お着替えに帰らなかったの」
藤音が懸命に説明してくれるが、やはり幼稚園の年中さん。今ひとつ要領を得ない。
そうこうしているうちに、遊歩道の方からふたりの人影が見えた。正確には三人であるのだが……。
「藤ちゃんもいるよ!」
結人と大樹の兄弟は、車道を挟んだ遊歩道を見つめて声を上げた。
エンジ色のスモックを着たふたりの少女が、息を切らせながら並木の間を駆け抜けて来る。
遠目には見分けの付かないふたりだ。手を繋ぎ、お揃いの黄色い帽子をかぶり、靴下とシューズは女の子向けの人気アニメキャラクターが付いていた。
「ユウくん、ヒロくん、待ったぁ~」
「えっとぉ……こんにちは! あの……パパとママもすぐに来ます」
きゃあきゃあ騒いですぐに結人らと追いかけっこを始めたのは、姉の和音である。
一方、卓巳と万里子の前に立ち、ピョコンと頭を下げて挨拶をしたのが、妹の藤音だった。一卵性双生児で見た目はそっくりだが、性格はまるで違う。
「あら、幼稚園の帰りにそのまま来たの? お着替えする時間がなかったかしら?」
万里子はひざまずき、藤音の幼稚園バッグを下ろしてやりながら問いかけた。
「あのね。お迎えが遅かったの。それでね。ママが怒ってて……お着替えに帰らなかったの」
藤音が懸命に説明してくれるが、やはり幼稚園の年中さん。今ひとつ要領を得ない。
そうこうしているうちに、遊歩道の方からふたりの人影が見えた。正確には三人であるのだが……。
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