愛を教えて ―番外編―
ソフィは洗面台で手を洗いながら、最後は涙声になる。

彼は一瞬でも、ソフィが情事に慣れている、なんて思った自分を恥じた。


『そんなこと思ってないよ! それに僕もそうだ。誰とでもこんなことはしない』

『ええ……そうね』


ソフィはうつむくと早足でリビングに戻った。

ジェイクも慌てて追いかける。


『オーナーは? 奥様はどうなさったの?』

『ランチは外で食べられるそうだ』

『まあ! じゃあ、本当によくなられたのね。……愛の力ってなんて偉大なのかしら』


ジェイクは意を決して言った。


『あの……アフターピルって身体によくないって聞いたよ。無理して飲まなくてもいいんじゃないかな?』


その瞬間、ソフィは声を荒げて叫んだ。


『そんなこと簡単に口にしないで! 望まれない子供ほど惨めなものはないわ。私もそうだったし、教会の子供たちはほとんどそう。でも……妊娠したら絶対に生むつもりよ。ああ、心配しないで。あなたに養育費の請求はしないわ。結婚もせずにこんなことをした私が馬鹿なの。よくわかってるから、もう放っておいて!』

『お、落ち着いて話そうよ、ソフィ。だから言ってるんだ。アフターピルは飲まないでいいよ。夢中で愛し合って子供が授かるのは自然なことさ。僕も毎週教会に通ってる。妊娠ってすぐにわかるんだっけ? それとも時間がかかるの? 一週間、二週間?』


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