愛を教えて ―番外編―
後編
工場正面のシャッターを開け、四台のバイクが入って来た。改造を施しているのは間違いなく、爆撃でも受けたような音が工場内に反響している。
「亨(とおる)! ここに来ちゃいかん、と言っただろう!」
誘拐犯の老人――三浦は、男の名を呼びながらバイクに近づいた。
「いるのね。今でもこんな暴走族……だったかしら?」
美月が呆れたように言う。
「……そうだね。しかも、あのおじいさんと知り合いみたいだ」
結人は嫌な予感を覚える。
「ねえ、もう放って帰りましょう。携帯も取り上げられてないんだし、早く連絡を取ったほうが無難よ」
美月の言うことは正しい。
仮にも誘拐されたのだ。クリスマスイブの夜、しかも家で予定外のことが起こったこの日に、である。結人と美月が帰らないとなれば、どれほど心配しているか知れない。
しかも、美月はか弱い少女なのだ……とてもそうは見えないけど。
きっと、別の心配もしているだろう。
「亨(とおる)! ここに来ちゃいかん、と言っただろう!」
誘拐犯の老人――三浦は、男の名を呼びながらバイクに近づいた。
「いるのね。今でもこんな暴走族……だったかしら?」
美月が呆れたように言う。
「……そうだね。しかも、あのおじいさんと知り合いみたいだ」
結人は嫌な予感を覚える。
「ねえ、もう放って帰りましょう。携帯も取り上げられてないんだし、早く連絡を取ったほうが無難よ」
美月の言うことは正しい。
仮にも誘拐されたのだ。クリスマスイブの夜、しかも家で予定外のことが起こったこの日に、である。結人と美月が帰らないとなれば、どれほど心配しているか知れない。
しかも、美月はか弱い少女なのだ……とてもそうは見えないけど。
きっと、別の心配もしているだろう。