愛を教えて ―番外編―
「あの、これって……卓巳さんが用意されたんですか?」

「え? ああ、そうだ。カタログを集めて僕が選んだ。だが、実際の注文は宗に頼んだ」


褒めてくれと言わんばかりの……少年のように屈託のない卓巳の笑顔だ。

万里子はどうもそれに弱い。

迷いながらも恐る恐る尋ねてみる。


「ちなみに……参考までに、ですけど。卓巳さんが、一番気に入ってるのって、どれですか?」


万里子の気持ちが傾きつつあるのに気づき、卓巳の声は跳ね上がった。


「それは……この白が基調のモノトーンビキニだ! やはり、白は君にピッタリだと思うんだ。二段フリルも胸元のリボンも最高に可愛い! 縁取りの黒がまたセクシーで……」


布地の量は、ウェットスーツの十分の一もないだろう。困ったような万里子の表情に卓巳はハッとする。


「す、すまない。そういうつもりじゃ」

「い、いえ……確かに素敵ですね。でも、他にはどれが」


話を変えるように、万里子は慌てて言った。

さすがの卓巳も反省したのか咳払いをして、今度は落ち着いた声で話し始めた。……はずだったのだが。


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