愛を教えて ―番外編―
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『わたくしどもの目が行き届きませんで、申し訳ございません。ただ……北斗くんは以前から申し上げておりますとおり、少々乱暴なところがございまして。今回も暴れだした北斗くんを押さえようとした結果、相手のお子さんとぶつかるような形になってしまいました』


幼稚園からの説明は明らかに北斗の責任だ、と言っていた。

園の対応に不満があるなら、他の幼稚園を紹介する、といったニュアンスまで伝わってきて……。


打撲と擦り傷程度とはいえ、子供が包帯を巻いて帰ってきて心配しない親はいない。

だが、問い合わせた愛実に、幼稚園の対応は冷たいものだった。 


「そんな、気に病むものではありませんわ、奥様」


落ち込む愛実を励ましてくれたのは、夫の秘書であり親友でもある瀬崎の妻、香織だ。

愛実よりひと回りも年上で、彼女自身が色んな会社で重役秘書として働いた経験も長い。東京に戻ってきて一年余り、愛実にとって姉のような存在だった。


「ええ、大丈夫です。きっと私たちは、幼稚園にとってお荷物なんでしょうね。そのせいで、子供たちにもイヤな思いをさせているのかも知れない……そう思ったら」

「そんなこと……。大地(だいち)くんはしっかり頑張ってるじゃありませんか? 北斗くんも小学校に上がって、お兄様と一緒に通うようになれば落ち着くと思いますよ」

「だと、いいのだけれど……」


香織の言葉に、曖昧にうなずく愛実だった。


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