愛を教えて ―番外編―
『お兄ちゃんはあんなにいい子なのに……北斗くんはどうしちゃったのかしらねぇ』
そう言って周囲にため息を吐かれるほど、北斗は言葉より先に手が出てしまうのだ。
ニ~三度、父親の藤臣が息子を叱って手をあげたことはある。無論、暴力というほどのものではない。その場は落ち着くのだが、結果的に北斗の乱暴は直らなかった。
カッとなればおもちゃを床に投げつけたり、物を蹴飛ばしたり……。ガラスを蹴り、足に三針縫う怪我したこともあるくらいだ。
藤臣は北斗の乱暴を自分の責任だと思い込んでいる。
落ち込む藤臣を見たくなくて、愛実はしだいに北斗が問題を起こしても夫に話さなくなった。
「環境が変わって、北斗もだいぶ治まってきていたのに……。大地が小学生になった途端、いろいろ問題を起こすようになって……。私が、未熟な母親で至らないから」
「それは違いますよ、奥様。ほら、ちょうど二月に忍ちゃんがお生まれになったじゃないですか? きっと、北斗くんはお母さまを取られた気持ちなんですよ。子供にはよくあることです」
「でも……大地のときは、そんなことは全然……」
「それが個性というものですわ」
香織は優しく微笑みかけてくれた。
そんな香織に愛実は思い切って口を開く。
「あの、香織さん……実は相談があるのですけれど……」
そう言って周囲にため息を吐かれるほど、北斗は言葉より先に手が出てしまうのだ。
ニ~三度、父親の藤臣が息子を叱って手をあげたことはある。無論、暴力というほどのものではない。その場は落ち着くのだが、結果的に北斗の乱暴は直らなかった。
カッとなればおもちゃを床に投げつけたり、物を蹴飛ばしたり……。ガラスを蹴り、足に三針縫う怪我したこともあるくらいだ。
藤臣は北斗の乱暴を自分の責任だと思い込んでいる。
落ち込む藤臣を見たくなくて、愛実はしだいに北斗が問題を起こしても夫に話さなくなった。
「環境が変わって、北斗もだいぶ治まってきていたのに……。大地が小学生になった途端、いろいろ問題を起こすようになって……。私が、未熟な母親で至らないから」
「それは違いますよ、奥様。ほら、ちょうど二月に忍ちゃんがお生まれになったじゃないですか? きっと、北斗くんはお母さまを取られた気持ちなんですよ。子供にはよくあることです」
「でも……大地のときは、そんなことは全然……」
「それが個性というものですわ」
香織は優しく微笑みかけてくれた。
そんな香織に愛実は思い切って口を開く。
「あの、香織さん……実は相談があるのですけれど……」