愛を教えて ―番外編―
「すみません。ふたりとも恥ずかしがり屋で……。今は瀬崎と申します。夫がこちらの、美馬常務の秘書をしておりまして……秘書室の皆様はお変わりなく?」
香織が気にしているのは宗のことかもしれない、と思いつつ、
「そうですね、半数ほど顔ぶれが変わったのではないかしら。でも、主人の第一秘書は変わらず中澤さんが務めてくださっています。理想が高いのか、なかなかご縁がないようで……」
卓巳の個人秘書である宗の周囲で起こった事件は当時マスコミで騒がれ、逮捕者まで出してしまった。
逮捕された女性は責任能力が疑問視され、起訴猶予となる。その友人で事件の発端となった女性も会社を辞めた。今はふたりとも新天地で新しい人生を歩み始めたと聞く。
万里子がそのことを伝えると、香織はホッと息を吐いた。
それを見てから、ついでのように……「宗さんもご結婚されて、今は四人のお子さんのパパですし」そう付け足した。
香織は一瞬ハッとしたが、すぐに笑顔を見せる。彼女は今、本当に幸せなのだと知り、万里子も嬉しかった。
「あの……万里子様にお願いがあるのですけれど……」
美馬家の玄関から離れながら、香織は真剣な口調で話し始める。
香織が気にしているのは宗のことかもしれない、と思いつつ、
「そうですね、半数ほど顔ぶれが変わったのではないかしら。でも、主人の第一秘書は変わらず中澤さんが務めてくださっています。理想が高いのか、なかなかご縁がないようで……」
卓巳の個人秘書である宗の周囲で起こった事件は当時マスコミで騒がれ、逮捕者まで出してしまった。
逮捕された女性は責任能力が疑問視され、起訴猶予となる。その友人で事件の発端となった女性も会社を辞めた。今はふたりとも新天地で新しい人生を歩み始めたと聞く。
万里子がそのことを伝えると、香織はホッと息を吐いた。
それを見てから、ついでのように……「宗さんもご結婚されて、今は四人のお子さんのパパですし」そう付け足した。
香織は一瞬ハッとしたが、すぐに笑顔を見せる。彼女は今、本当に幸せなのだと知り、万里子も嬉しかった。
「あの……万里子様にお願いがあるのですけれど……」
美馬家の玄関から離れながら、香織は真剣な口調で話し始める。