愛を教えて ―番外編―
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「どうして謝らないとダメなの? 僕は悪いことなんかしてないもん!」


夕食の後、母親である万里子に呼び出され、やんちゃな次男坊は口を“へ”の字にして言い返した。


五歳児の話なので正確に知ることは難しいが、大樹の話から推測すると……。


もうすぐ父の日なので父親の似顔絵を書きましょう、という課題が出たらしい。

思い思いに描き始めたというが、そのとき、急に北斗が隣の子の絵を破いたという。

机の上に乗り、別の子が描いた絵を踏み躙ったりして、先生に注意されてもやめようとしない北斗に、大樹は怒った。

北斗の足を引っ張り、その拍子に机から落ち、怪我をしてしまう。

ひじと腕を強く打っていたので病院で看てもらったが、打ち身と擦り傷だけで元気に走り回っていると聞き、万里子もホッとした。


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