愛を教えて ―番外編―
十数分後――カタン、と音がしてドアが開き、スラリと伸びた足が見えた。

万里子は、茶色がかった髪を一本の三つ編みにしている。そして、バスタオルを全身に巻き、せっかくの水着姿を覆い隠していた。


「――キレイな足だ」

「そんなこと……ないです」

「キスしていいかい?」

「ダメって言ったら、やめてくれますか?」


卓巳は一歩ずつ万里子に近づいてくる。もう、これ以上前には進めない位置まで来て、万里子を見下ろしながら答えた。


「ああ、もちろんだ。でも、もう一度頼んでみるつもりだよ」

「じゃ、頼んでみてください……」


卓巳は万里子の顔を覗き込むように近づけ、


「キスしていい?」

「……はい」


ふたりの距離はゼロになり、唇がそうっと重なった。


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