愛を教えて ―番外編―
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六月のこの時期、株主総会を間近に控え、どこの会社も忙しい。それは藤原グループといえども同じだ。卓巳の帰宅は夜十時を回ることが多くなっていた。
送り迎えのリムジンの車内、卓巳は傘下企業の総会資料に目を通す。
と……隣で欠伸をかみ殺す秘書に気づき、声をかけた。
「眠そうだな。もう五人目の計画か? 私より先に作るんじゃないぞ」
「とんでもない! 子供は四人もいれば充分ですよ」
本気で否定している宗を見るのが面白く、卓巳はさらにからかってみる。
「せっかくじゃないか。四人姉妹を目指してみたらどうだ?」
「三人姉妹で満足しております」
「男の子がひとりじゃ可哀想だろう?」
「社長宅のお仲間に入れてもらえたら……寂しくなんかありませんよ。下が欲しければ、社長の五番目の息子さんを可愛がれば……」
地雷を踏んだことに気づいたのか、宗は急に押し黙った。
「息子だけでバスケットチームを作る気はない。来月には立志も一歳を過ぎるし、そろそろ……だな」
六月のこの時期、株主総会を間近に控え、どこの会社も忙しい。それは藤原グループといえども同じだ。卓巳の帰宅は夜十時を回ることが多くなっていた。
送り迎えのリムジンの車内、卓巳は傘下企業の総会資料に目を通す。
と……隣で欠伸をかみ殺す秘書に気づき、声をかけた。
「眠そうだな。もう五人目の計画か? 私より先に作るんじゃないぞ」
「とんでもない! 子供は四人もいれば充分ですよ」
本気で否定している宗を見るのが面白く、卓巳はさらにからかってみる。
「せっかくじゃないか。四人姉妹を目指してみたらどうだ?」
「三人姉妹で満足しております」
「男の子がひとりじゃ可哀想だろう?」
「社長宅のお仲間に入れてもらえたら……寂しくなんかありませんよ。下が欲しければ、社長の五番目の息子さんを可愛がれば……」
地雷を踏んだことに気づいたのか、宗は急に押し黙った。
「息子だけでバスケットチームを作る気はない。来月には立志も一歳を過ぎるし、そろそろ……だな」