愛を教えて ―番外編―
さすがに、卓巳も顔色が変わった。


「怪我の具合は? ひどいのか?」


万里子は怪我は軽症であることと幼稚園側の過剰な気づかい、美馬家を訪れ謝罪したことを伝える。

愛実と話した内容を口にしようとした途端、


「どうして君が謝罪に行ったりするんだ!」


と珍しく卓巳が声を荒げた。


「どうしてって……子供がしたことですもの。母親がお詫びに行って当然でしょう? 本当は大樹も連れて行きたかったんですけど。北斗くんには明日の朝、幼稚園で謝るように言いましたから」

「駄目だ! 謝罪などしたらこちらの非を認めるようなものじゃないか!? 園側は大樹のせいじゃないと言ってるんだ。だったら君が息子に罪を押し付けてどうする? もし、美馬が文句を言ってくるようなら、うちの顧問弁護士に任せて……」


はじめは唖然としていた万里子だが、ハッと我に返り叫んだ。


「子供のケンカですよ。会社の賠償問題とは違うんです!」

「だが……」


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