愛を教えて ―番外編―
「エコ・カーニバル? なんだ、それは……」
卓巳は素っ頓狂な声をあげた。
それは七月に入ってすぐ、幼稚園のPTAで行うイベントだ。昨年は違うイベントの担当だった万里子だが、今年はエコ・カーニバルの実行委員であった。そして、愛実も同じ実行委員である。それを利用しない手はない、と思ったのだ。
愛実と話し合ったときは、父親同士も参加してもらい、仲良くしているところを子供たちに見せようということになった。
だが香織の話を聞き、子供たちだけでは駄目だと万里子は思いなおす。
卓巳はこう見えて、子供たちの行事にはすべて参加している。入園入学式はもちろん、父親参観や運動会も。
だが、美馬が出席したのはこの春の入学式のみ。幼稚園には姿を見せたこともない。
美馬の悪い噂を払拭するためにも、卓巳と協力し合う姿を父兄にも見てもらう必要がある。会社と子供は別だと、“藤原家”としての方針を示さなければならない。
「ムリだ。そんなこと……あの男と協力なんて」
ブツブツ言う卓巳に、万里子はジョーカーを使うことにした。
「そうですか……。卓巳さんはまだ、大学時代に奪われた女性のことを気になさってるんですね」
卓巳は素っ頓狂な声をあげた。
それは七月に入ってすぐ、幼稚園のPTAで行うイベントだ。昨年は違うイベントの担当だった万里子だが、今年はエコ・カーニバルの実行委員であった。そして、愛実も同じ実行委員である。それを利用しない手はない、と思ったのだ。
愛実と話し合ったときは、父親同士も参加してもらい、仲良くしているところを子供たちに見せようということになった。
だが香織の話を聞き、子供たちだけでは駄目だと万里子は思いなおす。
卓巳はこう見えて、子供たちの行事にはすべて参加している。入園入学式はもちろん、父親参観や運動会も。
だが、美馬が出席したのはこの春の入学式のみ。幼稚園には姿を見せたこともない。
美馬の悪い噂を払拭するためにも、卓巳と協力し合う姿を父兄にも見てもらう必要がある。会社と子供は別だと、“藤原家”としての方針を示さなければならない。
「ムリだ。そんなこと……あの男と協力なんて」
ブツブツ言う卓巳に、万里子はジョーカーを使うことにした。
「そうですか……。卓巳さんはまだ、大学時代に奪われた女性のことを気になさってるんですね」