愛を教えて ―番外編―
「よかったね、しーちゃん。パパはしーちゃんの顔を見てるだけでいいんだって」
ちょっと拗ねた感じで愛実が言うと、藤臣は苦笑いを浮かべて、
「もちろん、ママの顔が一番だ」
愛実の頬に軽く口づけ、次に、唇を重ねたのだった。
静かになった娘をベビーベッドに寝かせた。
ベビールームは夫婦の寝室と続き部屋。上のふたりは三階にそれぞれの部屋がある。
長男の大地はともかく、次男の北斗は母親と離れて眠るのを嫌がったものだ。でも、三歳になると同時に父親から専用のベッドを与えられ……。北斗は渋々ではあったが、兄と同じ部屋で寝るようになり、東京に来てからはひとりで寝られるようになった。
愛実にすればまだ幼稚園なのに、と思う。だが……。
『いつ、親が守ってやれなくなるかわからないんだ。どんなに小さくても、たとえひとりになっても、しっかり生きていける強い心を育ててやりたい。とくに、男の子はそうでないと……。大人になったとき、あの子たち自身が悔しい思いをすることになる』
藤臣は自分の味わった“悔しさ”を、息子たちにだけは経験させたくないと思っている。
娘の忍は、彼にとって亡くなった妹の代わりだった。
ちょっと拗ねた感じで愛実が言うと、藤臣は苦笑いを浮かべて、
「もちろん、ママの顔が一番だ」
愛実の頬に軽く口づけ、次に、唇を重ねたのだった。
静かになった娘をベビーベッドに寝かせた。
ベビールームは夫婦の寝室と続き部屋。上のふたりは三階にそれぞれの部屋がある。
長男の大地はともかく、次男の北斗は母親と離れて眠るのを嫌がったものだ。でも、三歳になると同時に父親から専用のベッドを与えられ……。北斗は渋々ではあったが、兄と同じ部屋で寝るようになり、東京に来てからはひとりで寝られるようになった。
愛実にすればまだ幼稚園なのに、と思う。だが……。
『いつ、親が守ってやれなくなるかわからないんだ。どんなに小さくても、たとえひとりになっても、しっかり生きていける強い心を育ててやりたい。とくに、男の子はそうでないと……。大人になったとき、あの子たち自身が悔しい思いをすることになる』
藤臣は自分の味わった“悔しさ”を、息子たちにだけは経験させたくないと思っている。
娘の忍は、彼にとって亡くなった妹の代わりだった。