愛を教えて ―番外編―
だがそのときは、ふたりが我慢すれば済むことで――。
美馬家から逮捕者を出したとき、子どもたちはふたりとも幼稚園に通っていた。愛実たちはふたたび、白い目で見られることになる。そしてそれは、子どもたちまで巻き込むことになってしまい……。
「子どもたちがイジメられてるなら、私が園や学校に出向いて話をしてこよう」
藤臣は心配そうに愛実の顔を覗き込み言った。
二年前、会社と美馬の親族との話し合いでくたくたの藤臣に、愛実はイジメに耐えられず八つ当たりしてしまったことがある。泣いて文句を言う愛実の言葉を藤臣は黙って聞いてくれた。そして幼稚園に出向いて、理不尽なイジメはやめるように指導して欲しいと訴えてくれたのだ。
(あのときみたいに、心配や迷惑は掛けたくない!)
「そ、そうじゃないの。北斗が幼稚園で……はしゃいで、少し怪我をしてしまって。あ、ひどくはないのよ。私の目に届かない所で怪我をして、包帯を巻いて帰ってきたから……ちょっとショックで」
愛実が懸命に言うと、藤臣も緊張が取れたように笑って答えた。
「男の子なんだ。多少の怪我ぐらいはするさ。人に迷惑をかけたり、弱い者イジメをしたり。とにかく“悪いこと”をしない限り、気にすることはない」
藤臣は手を伸ばし、愛実をギュッと抱きしめながら言う。
美馬家から逮捕者を出したとき、子どもたちはふたりとも幼稚園に通っていた。愛実たちはふたたび、白い目で見られることになる。そしてそれは、子どもたちまで巻き込むことになってしまい……。
「子どもたちがイジメられてるなら、私が園や学校に出向いて話をしてこよう」
藤臣は心配そうに愛実の顔を覗き込み言った。
二年前、会社と美馬の親族との話し合いでくたくたの藤臣に、愛実はイジメに耐えられず八つ当たりしてしまったことがある。泣いて文句を言う愛実の言葉を藤臣は黙って聞いてくれた。そして幼稚園に出向いて、理不尽なイジメはやめるように指導して欲しいと訴えてくれたのだ。
(あのときみたいに、心配や迷惑は掛けたくない!)
「そ、そうじゃないの。北斗が幼稚園で……はしゃいで、少し怪我をしてしまって。あ、ひどくはないのよ。私の目に届かない所で怪我をして、包帯を巻いて帰ってきたから……ちょっとショックで」
愛実が懸命に言うと、藤臣も緊張が取れたように笑って答えた。
「男の子なんだ。多少の怪我ぐらいはするさ。人に迷惑をかけたり、弱い者イジメをしたり。とにかく“悪いこと”をしない限り、気にすることはない」
藤臣は手を伸ばし、愛実をギュッと抱きしめながら言う。