愛を教えて ―番外編―
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「じゃあ、大樹くんはちゃんと謝ったんですか?」


尋ねたのは宗の妻、雪音だ。

万里子は雪音とふたり、皐月が愛したサンルームでお茶を飲みながら、裏庭を走り回る子どもたちに目を細めていた。


雪音はもともと藤原邸の住み込みメイド。万里子が結婚してすぐの頃は、雪音が唯一の味方だったと言ってもいい。今は、同じ年代の子どもを抱えていることもあり、子育てについていろいろ相談しあう仲である。

だが雪音にすれば、子どもを保育園に預けてメイドに復帰したいらしい。それを夫のいい加減な家族計画のせいで、万里子の出産に合わせるように彼女も妊娠してしまい、果たせずにいた。

そんな雪音に万里子は、大樹と北斗の件を話して聞かせたのだった。


「ええ、そうよ。だって、わざとじゃなければ何もしても許される、なんて教えたくはないもの」

「それはまあ……。で、相手のお子さんは?」


北斗はかなり不満そうだった。でも泣きそうな母親、愛実の顔を見て……『絵をやぶってゴメン』と小さく言い、頭を下げた。

万里子はふたりを大げさなほど褒めたが……。


「結局、最初に北斗くんに酷いことを言った子は名乗りを上げなかったの。北斗くん自身がそのことを言おうとしないから、わたしが口を挟むわけにはいかないし」

「じゃあ、北斗くんのママにもそのことは?」

「言えなかったの。愛実さんはいろいろ悩んでいるみたいで……。そこに『北斗くんと仲良くするな』なんて、子どもに言った親がいるとは」


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