愛を教えて ―番外編―
(8)因縁
「でも、卓巳様は相変わらず、万里子様には弱いですよねぇ」
猫舌の雪音は冷めた紅茶をひと口飲むと、ふふふっと笑い、万里子をからかうように言った。
一方、万里子は新しく淹れたダージリンティーの甘く強い香りを楽しみながら、ゆっくりと口に運びつつ……。
「いやだわ、そんなふうに見える?」
「ええ、もちろん!」
「もう、雪音さんたら」
万里子はティーカップをソーサーに戻すと曖昧に微笑んだ。そんな仕草に、長い付き合いの雪音は何かを感じ取ったようだ。
「あの……何か、あったんですか?」
「ええ、実は、ね」
エコ・カーニバルは毎年行われる。
出し物はその都度、実行委員や父兄たちが考えたものでよい、となってはいるが……それはタテマエというもの。実際は年少・年中・年長と分けられ、遊び・販売・飲食コーナーと担当が決められている。
去年は実行委員ではなかったものの、万里子は販売コーナーを手伝った。牛乳パックに可愛らしい布を貼り付け小物入れを作ったり、古いタオルを持ち寄り雑巾を作ったりした。
飲食コーナーは、実行委員が中心に行う喫茶コーナー、あとはカレーと焼きそばが定番になっている。隣のクラスがカレーに決まったので、自動的に万里子のクラスは焼きそばになってしまい……。
『卓巳さん……焼きそばなんですけど。できそうですか?』
もし難しいようなら、万里子も一緒に手伝おう、そう思って尋ねた。
猫舌の雪音は冷めた紅茶をひと口飲むと、ふふふっと笑い、万里子をからかうように言った。
一方、万里子は新しく淹れたダージリンティーの甘く強い香りを楽しみながら、ゆっくりと口に運びつつ……。
「いやだわ、そんなふうに見える?」
「ええ、もちろん!」
「もう、雪音さんたら」
万里子はティーカップをソーサーに戻すと曖昧に微笑んだ。そんな仕草に、長い付き合いの雪音は何かを感じ取ったようだ。
「あの……何か、あったんですか?」
「ええ、実は、ね」
エコ・カーニバルは毎年行われる。
出し物はその都度、実行委員や父兄たちが考えたものでよい、となってはいるが……それはタテマエというもの。実際は年少・年中・年長と分けられ、遊び・販売・飲食コーナーと担当が決められている。
去年は実行委員ではなかったものの、万里子は販売コーナーを手伝った。牛乳パックに可愛らしい布を貼り付け小物入れを作ったり、古いタオルを持ち寄り雑巾を作ったりした。
飲食コーナーは、実行委員が中心に行う喫茶コーナー、あとはカレーと焼きそばが定番になっている。隣のクラスがカレーに決まったので、自動的に万里子のクラスは焼きそばになってしまい……。
『卓巳さん……焼きそばなんですけど。できそうですか?』
もし難しいようなら、万里子も一緒に手伝おう、そう思って尋ねた。