愛を教えて ―番外編―
だが、意外にも卓巳は、


『ああ、問題ない。焼きそばだろうが、たこ焼きだろうが。私にできないことはないよ』


爽やかな笑顔で答えたのだった。



「まあ、だったら問題ないじゃありませんか。さすが、というか……。ダテに苦労はしてないってことですよね」


雪音は感心したようにうなずいている。

万里子も最初はそう思った。『卓巳さんに任せておけば安心だわ』と。だが、話はそれだけでは済まなかったのだ。



数日後――

万里子は念を押すように卓巳に確認した。


『前日の金曜日に準備があるんですけど……』

『ああ、大丈夫だ。心配しなくていいよ』


万里子は準備まではムリだろう、と思っていたので、卓巳の優しさに感激する。


『卓巳さん。本当にありがとう。わたしと子どもたちのために、忙しい時間を割いてくれて』

『それだけじゃないぞ。当日は岡山の蒜山(ひるぜん)からプロを招いたから、楽しみにしておいてくれ』

『……プロ、ですか?』


< 175 / 283 >

この作品をシェア

pagetop