愛を教えて ―番外編―
(9)我儘ですか?
「ごめんね、北斗くん。パパが悪いんじゃないの。ママが、今日の用意があるってパパに言い忘れちゃったの。ホントにごめんなさい」
愛実がしゃがみ込んで北斗に謝った。すると、
「僕、平気だよ! ママは泣いちゃダメだからね。僕がパパの分もガンバルから」
愛実の悲しそうな表情に気づいたのか、北斗は急にはしゃいだ声をあげた。
そんな息子の期待に応えようと、愛実は無理やり笑顔を見せる。とたんに、北斗もホッとしたような笑顔になった。
飲食コーナーが設けられるのは遊戯室。
鉄板は前日に組み立てる。ガスは当日でないと取り付けてもらえないが、飲食用の椅子やテーブルを運んだり、外にテントを作ったりする力仕事があった。
その間に、女性陣は野菜の下ごしらえをする。
喫茶コーナーではマドレーヌやクッキーをドリンクに添えることになっていた。それは万里子が自宅で作って持ってくる予定だ。可能な限り、万里子自身が作ると言っていたが……。
『どうしても間に合いそうになかったら、コックにお願いしてあるの。ちょっとズルだけど、見逃してね』
愛実と話したとき、万里子はそんなふうに言っていた。
今回の実行委員の中で飲食コーナーの責任者的立場である万里子は、かなり忙しそうだ。
愛実がしゃがみ込んで北斗に謝った。すると、
「僕、平気だよ! ママは泣いちゃダメだからね。僕がパパの分もガンバルから」
愛実の悲しそうな表情に気づいたのか、北斗は急にはしゃいだ声をあげた。
そんな息子の期待に応えようと、愛実は無理やり笑顔を見せる。とたんに、北斗もホッとしたような笑顔になった。
飲食コーナーが設けられるのは遊戯室。
鉄板は前日に組み立てる。ガスは当日でないと取り付けてもらえないが、飲食用の椅子やテーブルを運んだり、外にテントを作ったりする力仕事があった。
その間に、女性陣は野菜の下ごしらえをする。
喫茶コーナーではマドレーヌやクッキーをドリンクに添えることになっていた。それは万里子が自宅で作って持ってくる予定だ。可能な限り、万里子自身が作ると言っていたが……。
『どうしても間に合いそうになかったら、コックにお願いしてあるの。ちょっとズルだけど、見逃してね』
愛実と話したとき、万里子はそんなふうに言っていた。
今回の実行委員の中で飲食コーナーの責任者的立場である万里子は、かなり忙しそうだ。