愛を教えて ―番外編―
万里子に紹介され、愛実も挨拶をする。
「はじめまして。奥様にはいつもお世話になっております」
「いや、こちらこそ。先日は大樹が北斗くんに怪我をさせてしまったとか。申し訳ないことをしました。でも、今日は元気に手伝ってくれて……たいしたことがなかったようで、よかったです」
軽く会釈をして卓巳は北斗の怪我を気遣った。
だが、続けて卓巳が口にしたのは、
「明日ですが……。美馬は仕事を抜けてくるのかな? 彼の会社は株主総会でちょっとしたトラブルがあって、数字を出さなきゃならないはずなんだが」
ふいに探るような視線を向けられ、その変化について行けず、愛実は戸惑いを露わにした。
「お仕事のことを愛実さんに聞いてもわかるはずがないでしょう? わたしだって卓巳さんが今からどんなお仕事に行かれるのか、まったく知りませんもの」
万里子のフォローに卓巳は愛実から目を逸らせる。
「ああ、すまない。他意はないんだ。ただ、北斗くんが楽しみにしてるみたいだから、ちょっと気になってね。明日、一緒に焼きそばを焼くのを楽しみにしている、そうお伝えください。じゃ」
万里子は夫を正面玄関まで見送ると言ってその場から離れた。
ふたりの後姿を、複雑な心境でみつめる愛実だった。
「はじめまして。奥様にはいつもお世話になっております」
「いや、こちらこそ。先日は大樹が北斗くんに怪我をさせてしまったとか。申し訳ないことをしました。でも、今日は元気に手伝ってくれて……たいしたことがなかったようで、よかったです」
軽く会釈をして卓巳は北斗の怪我を気遣った。
だが、続けて卓巳が口にしたのは、
「明日ですが……。美馬は仕事を抜けてくるのかな? 彼の会社は株主総会でちょっとしたトラブルがあって、数字を出さなきゃならないはずなんだが」
ふいに探るような視線を向けられ、その変化について行けず、愛実は戸惑いを露わにした。
「お仕事のことを愛実さんに聞いてもわかるはずがないでしょう? わたしだって卓巳さんが今からどんなお仕事に行かれるのか、まったく知りませんもの」
万里子のフォローに卓巳は愛実から目を逸らせる。
「ああ、すまない。他意はないんだ。ただ、北斗くんが楽しみにしてるみたいだから、ちょっと気になってね。明日、一緒に焼きそばを焼くのを楽しみにしている、そうお伝えください。じゃ」
万里子は夫を正面玄関まで見送ると言ってその場から離れた。
ふたりの後姿を、複雑な心境でみつめる愛実だった。