愛を教えて ―番外編―
「詳しくは聞いておりませんが、主人と大学が同じだったとか。長男の入学式でもご挨拶できなかったので、避けられているのかと思っていました」

「ああ、それは……」


藤臣は軽く笑うと、


「避けているのは私ではなく、ご主人のほうでしょう」

「それはやっぱり……女性問題ですか?」


万里子の言葉に藤臣は咳き込んだ。


「そんな話をご主人と?」

「いえ。偶然、一条先生のお宅で耳にしてしまって」

「ああ、弁護士の。……昔の話です。あの頃は彼が羨ましくてね。子どもだったんですよ」

「羨ましい?」


藤臣の言葉に万里子は驚いた。

大学時代の卓巳はただの苦学生。かたや藤臣は美馬家の御曹司として……聞こえ良く言えば、大学生活を謳歌していたはずだ。


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