愛を教えて ―番外編―
(11)最悪の展開
最愛の妻、万里子が美馬藤臣と談笑している。
それを目にした瞬間、卓巳の理性は十万光年彼方に飛び去った。
隣で秘書の宗が、『私が事情を聞いてきましょう。社長は出られないほうが』そんなことを言っていた気がする。だが、卓巳は宗の気遣いを無視して、ふたりのもとに歩み寄った。
「た、卓巳さん……」
万里子は目を見開いて夫を見ている。その仕草が、まるで密会に乗り込まれた人妻のようで、卓巳の怒りを煽った。
「知らなかったな。君が東部日本貿易の常務と懇意にしていたとは」
「明日のエコ・カーニバルのことです」
万里子は卓巳の嫌味に気づいたのか、ムッとした顔で言い返す。
「それはそれは。我々との会議を控えて、随分と余裕があるらしい」
卓巳は射るような視線を藤臣に向けた。
それを真正面から受け止め、藤臣は少し困ったように笑う。
「とんでもない。余裕がないので、奥様に藤原社長の攻略法を伺っていたところですよ」
「なっ!」
それを目にした瞬間、卓巳の理性は十万光年彼方に飛び去った。
隣で秘書の宗が、『私が事情を聞いてきましょう。社長は出られないほうが』そんなことを言っていた気がする。だが、卓巳は宗の気遣いを無視して、ふたりのもとに歩み寄った。
「た、卓巳さん……」
万里子は目を見開いて夫を見ている。その仕草が、まるで密会に乗り込まれた人妻のようで、卓巳の怒りを煽った。
「知らなかったな。君が東部日本貿易の常務と懇意にしていたとは」
「明日のエコ・カーニバルのことです」
万里子は卓巳の嫌味に気づいたのか、ムッとした顔で言い返す。
「それはそれは。我々との会議を控えて、随分と余裕があるらしい」
卓巳は射るような視線を藤臣に向けた。
それを真正面から受け止め、藤臣は少し困ったように笑う。
「とんでもない。余裕がないので、奥様に藤原社長の攻略法を伺っていたところですよ」
「なっ!」