愛を教えて ―番外編―
瀬崎は会議室から出てくる藤臣を待ち構えて謝罪を口にした。
卓巳の怒りを買ったことを、彼も目にしていたからだ。会議に影を落としたのではないか、と案じていたらしい。
「いや、今日のヤツが相手なら楽勝だな。だが、悪巧みを働いたみたいで……どうも、気分が悪い」
「常務のせいではありませんよ」
瀬崎は藤臣にとって兄同然の男だ。藤臣の立場がどれほど悪くなろうと、常に味方でいてくれた。
今、東部日本貿易を中心に傘下数社の社長を藤臣が兼任し、かろうじて藤原と競り合えるのは、瀬崎のおかげともいえる。
「瀬崎、明日の予定だが――」
「イースト・アメリカン空港の東アジア担当者が、ぜひ常務にお会いしたいと。和威様経由で連絡がありました」
藤臣は数秒間息を止め、短く答えた。
「わかった」
卓巳の怒りを買ったことを、彼も目にしていたからだ。会議に影を落としたのではないか、と案じていたらしい。
「いや、今日のヤツが相手なら楽勝だな。だが、悪巧みを働いたみたいで……どうも、気分が悪い」
「常務のせいではありませんよ」
瀬崎は藤臣にとって兄同然の男だ。藤臣の立場がどれほど悪くなろうと、常に味方でいてくれた。
今、東部日本貿易を中心に傘下数社の社長を藤臣が兼任し、かろうじて藤原と競り合えるのは、瀬崎のおかげともいえる。
「瀬崎、明日の予定だが――」
「イースト・アメリカン空港の東アジア担当者が、ぜひ常務にお会いしたいと。和威様経由で連絡がありました」
藤臣は数秒間息を止め、短く答えた。
「わかった」