愛を教えて ―番外編―
「卓巳さん……大好き」

「ま、りこ?」


そう言って卓巳の頬に軽くキスをする。

それがチェアに下ろそうとした瞬間のこと。

万里子からしてもらえた初めてのキス。一瞬で、卓巳の脳内回線はショートし、煙が噴き出す。

そして卓巳は見事にバランスを崩してしまい……。


「うわっ」

「きゃ」


チェアに下ろすつもりが引っ掛かってチェアを蹴り倒してしまった。卓巳は転ぶまいと、万里子を抱きかかえたまま、プールサイドに座り込む。


「万里子……今、僕にキスしたのか?」

「おいやでした? ごめんなさい、わたし、思わず」 

「もう一度、お願いできるかな? あの、できれば唇に」

「あの、でも重いでしょう? すぐに下りますから」

「重くない! このままでいるんだ。いや、いてくれ」


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