愛を教えて ―番外編―
(14)再会
「なるほど、なるほど。じゃあ、まだ喧嘩の真っ最中なわけですね」
雪音は可愛いお花で飾られた小さなイスに腰かけ、万里子に話しかけてくる。
今日の万里子は白いフリルのついたエプロン姿だった。実行委員はみんなお揃いだ。髪の長い万里子の場合、三つ編みにしたうえで、落ちてこないようにバンダナでとめていた。
喫茶コーナー担当の万里子がいるのは、飲食コーナーに指定されている遊戯室。
隣の給湯室を挟んで外に出る扉があり、すぐ外にテントが設置されていた。そこが焼きそばコーナーになっていて、卓巳と、今は愛実が準備をしているはずだ。
スタート前の準備時間、先に準備を終えた万里子は手伝いに行かず、雪音が来たのをいいことに、ついつい話し込む。
「だって……卓巳さんの大学時代の女性ってすごく気になってて。美馬さんに聞いたらわかるって思ったんだもの。……宗さんくらいだと、気にならないのかも知れないけど」
「まあ、ウチはあんまり知りたいとは思いませんね……ロクなことはしてないだろうから」
雪音は否定するのかと思ったが、あっさり肯定して笑っている。
「美馬さんはすごく卓巳さんのことを褒めてくれて、それに、女性のことも……」
難攻不落のひと言で、卓巳が自分から女性を口説いたり、積極的にしていたわけではないのだ、と万里子に教えてくれた。
「やっぱり、卓巳さんにはわたしだけなんだわって思って嬉しかったのに。あんなふうに、駄々っ子みたいな言い方するんだもの」
万里子が気にしていたのは、それだけではなかった。藤臣を敵視する理由が過去の女性でないなら、原因はひとつしかない。
「結人の入学式で会ったとき、美馬さんには生まれたばかりの娘さんがいて……。その後からよ。次はしばらく時間を空けて、って話していたのに、やっぱり五人目を作ろうって言い始めて」
雪音は可愛いお花で飾られた小さなイスに腰かけ、万里子に話しかけてくる。
今日の万里子は白いフリルのついたエプロン姿だった。実行委員はみんなお揃いだ。髪の長い万里子の場合、三つ編みにしたうえで、落ちてこないようにバンダナでとめていた。
喫茶コーナー担当の万里子がいるのは、飲食コーナーに指定されている遊戯室。
隣の給湯室を挟んで外に出る扉があり、すぐ外にテントが設置されていた。そこが焼きそばコーナーになっていて、卓巳と、今は愛実が準備をしているはずだ。
スタート前の準備時間、先に準備を終えた万里子は手伝いに行かず、雪音が来たのをいいことに、ついつい話し込む。
「だって……卓巳さんの大学時代の女性ってすごく気になってて。美馬さんに聞いたらわかるって思ったんだもの。……宗さんくらいだと、気にならないのかも知れないけど」
「まあ、ウチはあんまり知りたいとは思いませんね……ロクなことはしてないだろうから」
雪音は否定するのかと思ったが、あっさり肯定して笑っている。
「美馬さんはすごく卓巳さんのことを褒めてくれて、それに、女性のことも……」
難攻不落のひと言で、卓巳が自分から女性を口説いたり、積極的にしていたわけではないのだ、と万里子に教えてくれた。
「やっぱり、卓巳さんにはわたしだけなんだわって思って嬉しかったのに。あんなふうに、駄々っ子みたいな言い方するんだもの」
万里子が気にしていたのは、それだけではなかった。藤臣を敵視する理由が過去の女性でないなら、原因はひとつしかない。
「結人の入学式で会ったとき、美馬さんには生まれたばかりの娘さんがいて……。その後からよ。次はしばらく時間を空けて、って話していたのに、やっぱり五人目を作ろうって言い始めて」