愛を教えて ―番外編―
「でも……ビックリしました。藤原さんに焼きそばが焼けるなんて」
「中学の頃から働いていたからね。それでも飲食はあまり経験はないんだが……。どちらかといえば、力仕事が多かったかな」
「まあ! 私もアルバイトはたくさんしました。レストランの厨房でお皿洗いや仕込みの準備とかしてたんですよ」
「私が十代の頃は手で洗ってたな。酷く手が荒れたのを覚えているんだが……。今は機械で洗うんだろうな……」
「ええ、私のときはもう機械でした。でも、野菜は水洗いなので……真冬は辛かったです」
「ああ、確かに」
ふたりは顔を合わせて笑った。
(美馬の嫁さんにしちゃ、まともな女性じゃないか。……ひょっとして騙されてるのか?)
卓巳は心の中でとんでもない想像をしつつ……。
そのとき、姉弟らしき子供がふたり、愛実を見つけて駆け寄ってきた。
「あら、瑞穂ちゃんと大輔くん。来てくれたのね」
瑞穂と呼ばれた少女はちょうど宗の双子たちと同じくらいだろうか。愛実に向かって「おはようございます」と頭を下げた。少年のほうはまだ全力で走れる年齢ではなく、姉に引っ張られている。
「奥様、おはようございます。何かお手伝いができたら、と思ってきたんですが……。お子さんたちは?」
「上ふたりはお友達と一緒に来るみたいなの。忍は、実行委員用のベビールームで預かっていただいてるのよ」
「中学の頃から働いていたからね。それでも飲食はあまり経験はないんだが……。どちらかといえば、力仕事が多かったかな」
「まあ! 私もアルバイトはたくさんしました。レストランの厨房でお皿洗いや仕込みの準備とかしてたんですよ」
「私が十代の頃は手で洗ってたな。酷く手が荒れたのを覚えているんだが……。今は機械で洗うんだろうな……」
「ええ、私のときはもう機械でした。でも、野菜は水洗いなので……真冬は辛かったです」
「ああ、確かに」
ふたりは顔を合わせて笑った。
(美馬の嫁さんにしちゃ、まともな女性じゃないか。……ひょっとして騙されてるのか?)
卓巳は心の中でとんでもない想像をしつつ……。
そのとき、姉弟らしき子供がふたり、愛実を見つけて駆け寄ってきた。
「あら、瑞穂ちゃんと大輔くん。来てくれたのね」
瑞穂と呼ばれた少女はちょうど宗の双子たちと同じくらいだろうか。愛実に向かって「おはようございます」と頭を下げた。少年のほうはまだ全力で走れる年齢ではなく、姉に引っ張られている。
「奥様、おはようございます。何かお手伝いができたら、と思ってきたんですが……。お子さんたちは?」
「上ふたりはお友達と一緒に来るみたいなの。忍は、実行委員用のベビールームで預かっていただいてるのよ」