愛を教えて ―番外編―
藤臣が上着を脱いでネクタイをはずし、袖を捲り上げたとき、万里子がエプロンを差し出した。
「……これをつけろ、と?」
「あ、子供たちはみんな好きだから。パパたちには、子供たちが親しみがわく様な柄のエプロンをしてもらうことになったんです」
にっこり答えられたら文句は言えない。
愛実も、「あとは……プリキュアとかキティちゃんとか」などと恐ろしいことを言い始める。
「いや、コレでいい」
三分後、特設焼きそばコーナーには銀色のコテを手に、アンパンマンのエプロンをつけ、鉄板の前に立つ美馬藤臣がいた。
「なんでお前にこんな芸当ができるんだ?」
普通に焼き始めた藤臣の横で、卓巳は不満そうに言う。確かに、コテを使って焼く経験などあまりするものではないし、学生時代の放蕩ぶりから思えば想像できないだろう。
「網走で覚えた。会社ぐるみで地域の行事……お祭りに参加したり、子供会や町内会のイベントにも父兄として出たからな」
「それはまた……お前、本物の美馬藤臣か?」
「お前に言われたくない!」
「……これをつけろ、と?」
「あ、子供たちはみんな好きだから。パパたちには、子供たちが親しみがわく様な柄のエプロンをしてもらうことになったんです」
にっこり答えられたら文句は言えない。
愛実も、「あとは……プリキュアとかキティちゃんとか」などと恐ろしいことを言い始める。
「いや、コレでいい」
三分後、特設焼きそばコーナーには銀色のコテを手に、アンパンマンのエプロンをつけ、鉄板の前に立つ美馬藤臣がいた。
「なんでお前にこんな芸当ができるんだ?」
普通に焼き始めた藤臣の横で、卓巳は不満そうに言う。確かに、コテを使って焼く経験などあまりするものではないし、学生時代の放蕩ぶりから思えば想像できないだろう。
「網走で覚えた。会社ぐるみで地域の行事……お祭りに参加したり、子供会や町内会のイベントにも父兄として出たからな」
「それはまた……お前、本物の美馬藤臣か?」
「お前に言われたくない!」