愛を教えて ―番外編―
嬉しいという気持ちより、母親を泣かせてきたこれまでのことが小さな胸を占めていた。
そんな素直になれない北斗の気持ちが、今の愛実には上手く伝わらなかったようだ。
「北斗! なんてことを言うのっ!? パパに謝りなさい。今日は北斗のために来てくれたのよ。それなのに、どうして……」
「だってみんな言ってたじゃないかっ! パパは僕らのことを大事にしてないって。美馬は悪いことをして大きな会社になった。今も悪いことをしてるんだ。だから、近いうちに藤原につぶされるって……。早くそうなればいいのにってみんな言ってたっ!!」
(まさか……子供相手にそこまで言う連中がいるとは)
藤臣は驚きすぎて言葉がない。そんな彼から顔を背ける愛実の姿に、周囲の悪意を確信する。
そして、北斗の言葉に驚いたのは藤臣だけではなかった。
口を開いたのは美馬兄弟の後から駆けてきた、藤原兄弟の次男坊、大樹である。彼は子供ながら“藤原”の名前が出てきたことにビックリして父親に尋ねる。
「お父さん……ちがうよね? 北斗のお父さんの会社をつぶしたりしないよね?」
子供たちの真剣なまなざしを一身に受け、卓巳は――。
そんな素直になれない北斗の気持ちが、今の愛実には上手く伝わらなかったようだ。
「北斗! なんてことを言うのっ!? パパに謝りなさい。今日は北斗のために来てくれたのよ。それなのに、どうして……」
「だってみんな言ってたじゃないかっ! パパは僕らのことを大事にしてないって。美馬は悪いことをして大きな会社になった。今も悪いことをしてるんだ。だから、近いうちに藤原につぶされるって……。早くそうなればいいのにってみんな言ってたっ!!」
(まさか……子供相手にそこまで言う連中がいるとは)
藤臣は驚きすぎて言葉がない。そんな彼から顔を背ける愛実の姿に、周囲の悪意を確信する。
そして、北斗の言葉に驚いたのは藤臣だけではなかった。
口を開いたのは美馬兄弟の後から駆けてきた、藤原兄弟の次男坊、大樹である。彼は子供ながら“藤原”の名前が出てきたことにビックリして父親に尋ねる。
「お父さん……ちがうよね? 北斗のお父さんの会社をつぶしたりしないよね?」
子供たちの真剣なまなざしを一身に受け、卓巳は――。