愛を教えて ―番外編―
(18)フェアプレイ宣言
卓巳はコテを掴んだまま、エプロンの前で腕を組み、息子の質問に答えた。
「美馬に勝ちたいか、と聞かれたらイエスだ! その結果、美馬の会社が潰れることはあるかもしれない」
胸を張る卓巳に、万里子は青くなる。いや、万里子だけじゃない。周囲の大人はほとんどが青ざめ、目が泳いでいた。
(ひょっとして、美馬さんと会っていたことをまだ怒っているの?)
その可能性を考え、万里子は卓巳にやめさせようと思い立つが……。
卓巳はどうしようもないほど嫉妬深くて、何年も覚えているほど執念深い。だが、公正さだけは失わない人だ。個人的な恨みで、人を貶めるようなことは絶対にない。
万里子は卓巳が言い出すことにドキドキしながら、それでも彼を信じることにする。
だが、子どもたちは額面どおりに受け取ったらしく、横から長男の結人が口を挟んだ。
「そんな……僕は大地くんとは友だちなんだ。嫌いになんてなれないし、お父さんにそんなことして欲しくないよ……大地くんのお父さんと仲良くして欲しい」
頼りなげな声で、結人は卓巳に言う。
「美馬に勝ちたいか、と聞かれたらイエスだ! その結果、美馬の会社が潰れることはあるかもしれない」
胸を張る卓巳に、万里子は青くなる。いや、万里子だけじゃない。周囲の大人はほとんどが青ざめ、目が泳いでいた。
(ひょっとして、美馬さんと会っていたことをまだ怒っているの?)
その可能性を考え、万里子は卓巳にやめさせようと思い立つが……。
卓巳はどうしようもないほど嫉妬深くて、何年も覚えているほど執念深い。だが、公正さだけは失わない人だ。個人的な恨みで、人を貶めるようなことは絶対にない。
万里子は卓巳が言い出すことにドキドキしながら、それでも彼を信じることにする。
だが、子どもたちは額面どおりに受け取ったらしく、横から長男の結人が口を挟んだ。
「そんな……僕は大地くんとは友だちなんだ。嫌いになんてなれないし、お父さんにそんなことして欲しくないよ……大地くんのお父さんと仲良くして欲しい」
頼りなげな声で、結人は卓巳に言う。