愛を教えて ―番外編―
幼稚園、小学校とも藤原グループに縁のある保護者が多い。しかも卓巳は多額の寄付をして、理事にも名前を連ねている。
となれば、どうしても園のカラーが藤原寄りになるのは否めない。美馬以外にもライバル的会社は多数あるが、代表者の年齢が近く、週刊誌のネタにされるような美馬に意識が向くのも必然といえよう。
大した悪気もなく、大人にとっては世間話で口にした言葉が子どもに伝わった……。
“美馬は犯罪者だ”“藤原に潰されてしまえばいい”
それを頭ごなしにやめさせることは、卓巳にもできない。
だが、そんな大人の事情を子どもに話して聞かせたところで、幼い感情を宥めることはできないだろう。
卓巳は子どもたちにもわかる範囲内で、スポーツの応援を引き合いに出し、行き過ぎた声援を諌めるのは自分自身の態度で示せ、と教えた。
「でも……おじさんも美馬をつぶしたいんでしょう?」
「潰したいわけじゃない。逆におじさんの会社が潰れるかもしれない。それでも、真剣に、正々堂々と戦いたいんだ」
その言葉を受けて、藤臣も口を開いた。
「パパは……最初は美馬なんて潰れても構わないと思っていた。悪いことばかりして、警察に捕まったのだから、会社も潰れてしまえばいい、と。でも、みんなが悪いわけじゃない。悪いことをしていない人たちのために、会社は潰しちゃいけないと思いなおしたんだ。そんなとき、パパを助けてくれたのは……この、藤原のおじさんなんだよ」
それは万里子も知らないことだった。
となれば、どうしても園のカラーが藤原寄りになるのは否めない。美馬以外にもライバル的会社は多数あるが、代表者の年齢が近く、週刊誌のネタにされるような美馬に意識が向くのも必然といえよう。
大した悪気もなく、大人にとっては世間話で口にした言葉が子どもに伝わった……。
“美馬は犯罪者だ”“藤原に潰されてしまえばいい”
それを頭ごなしにやめさせることは、卓巳にもできない。
だが、そんな大人の事情を子どもに話して聞かせたところで、幼い感情を宥めることはできないだろう。
卓巳は子どもたちにもわかる範囲内で、スポーツの応援を引き合いに出し、行き過ぎた声援を諌めるのは自分自身の態度で示せ、と教えた。
「でも……おじさんも美馬をつぶしたいんでしょう?」
「潰したいわけじゃない。逆におじさんの会社が潰れるかもしれない。それでも、真剣に、正々堂々と戦いたいんだ」
その言葉を受けて、藤臣も口を開いた。
「パパは……最初は美馬なんて潰れても構わないと思っていた。悪いことばかりして、警察に捕まったのだから、会社も潰れてしまえばいい、と。でも、みんなが悪いわけじゃない。悪いことをしていない人たちのために、会社は潰しちゃいけないと思いなおしたんだ。そんなとき、パパを助けてくれたのは……この、藤原のおじさんなんだよ」
それは万里子も知らないことだった。