愛を教えて ―番外編―
「どっかの短大を出て、就職できずにスナックでバイトしてるとか聞いた気がする。ウチは頭がいいだけのボーヤが多いから、たまにそういう女が混じってたんだぜ。よかったな、喰われなくて」
 

すっかり学生時代の口調に戻り、笑い続ける藤臣に憮然とした視線を向けつつ、


「別に、本気だったわけじゃない。顔も名前も覚えてはいないし、お前に言われて学校名を思い出したくらいだ!」


卓巳は向きになって返事をした。

すると、藤臣はまだ可笑しそうな顔をして、


「ああ、右に同じだ。俺も話してて学校の名前だけ……あ、いや、もうひとつ思い出した」

「何を?」

「大してヨクはなかった。ヤらなくて正解だ」


などと、笑いを堪えるように言う。

完全に馬鹿にされているようだ。


(コイツ……大学時代の悪さを、全部嫁さんにバラしてやろうか)


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