愛を教えて ―番外編―
子供たちのために思いつきで計画したことだと、ホテルにチェックインするまで愛実は思っていた。

ところが、某大型テーマパーク内のホテルには、ちゃんとファミリールームが予約してあったのだ。しかも、忍のことを考えて、食事は部屋で取るように手配されていた。

そこは去年の夏、愛実が連れて遊びに来た場所だ。もちろん日帰りだったが、瀬崎家の姉弟も一緒だった。

愛実は悪阻が辛い時期で、へとへとになったのを覚えている。


『今度はパパも一緒に来たい!』


何度もそう言っていた北斗は願いが叶って本当に嬉しそうだ。

遊ぶ時間はほとんどなかったが、明日は朝から付き合うから、と言って子供たちをベッドに寝かせた。

忍のために可愛いキャラクターのついたベビーベッドまで用意されていて、愛実も久しぶりに心から笑った気がした。



子供たちが眠ったのを確認して、藤臣は愛実の傍までやって来た。

そんな彼にずっと疑問に思っていたことを尋ねてみる。


「お疲れさまです。でも……週末に空いている部屋じゃないでしょう? ひょっとして、予約しておいてくれたの?」

「昨日の今日でスイートは無理だったな。だが、行事にはなんとしても出るつもりだった。君の様子もおかしかったし……」


でも、万一のことがあるから、愛実や子供たちをぬか喜びさせたくなくて黙っていたという。


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