愛を教えて ―番外編―
「園のことは気にしていたんだ。でも、せっかく君が頑張ってるのに……そう思ったら、何も言えなかった。まさか、あんな酷いことまで言われていたとは。気づかなくて、悪かった」
「ごめんなさい。信じてなかったわけじゃなくて……ただ、迷惑をかけたくなくて」
卓巳に言われた『最初から“無理だろう”と思われるのは心外だ』『誰かを守る力が、自分の存在価値になる』そんな言葉を思い出す。
愛実は自分がダメな母親だと思ってきたが、妻としてもダメだとさらに落ち込んでしまう。
「いや、お互い様だよ」
そんな藤臣の言葉に愛実は顔を上げた。
彼はそっと愛実の手を取り、ベビーベッドから少し離れたソファへと連れて行く。ふたりはそのまま並んで座った。
「なんとしても、美馬を立て直さなければならない。とくに忍が生まれて……この子のためにも、これ以上、みっともない真似はできない、と。正直言って、これまで感じたことのないプレッシャーだった」
藤臣はずっと捨て身で戦ってきたという。いざという時には刺し違えても、そんな思いで戦うのは楽だった。
だが今は、背後に大切な人たちを庇いながら戦わなければならない。
それも、自分の身の安全も確保しつつ……。なぜならこの先何十年も、藤臣には家族を守る義務があった。
「すまない、愛実」
「いえ……謝るなら私のほうです。あなたを頼らずに頑張ろうなんてしたから……」
「いや、だから、それがお互い様なんだ」
「ごめんなさい。信じてなかったわけじゃなくて……ただ、迷惑をかけたくなくて」
卓巳に言われた『最初から“無理だろう”と思われるのは心外だ』『誰かを守る力が、自分の存在価値になる』そんな言葉を思い出す。
愛実は自分がダメな母親だと思ってきたが、妻としてもダメだとさらに落ち込んでしまう。
「いや、お互い様だよ」
そんな藤臣の言葉に愛実は顔を上げた。
彼はそっと愛実の手を取り、ベビーベッドから少し離れたソファへと連れて行く。ふたりはそのまま並んで座った。
「なんとしても、美馬を立て直さなければならない。とくに忍が生まれて……この子のためにも、これ以上、みっともない真似はできない、と。正直言って、これまで感じたことのないプレッシャーだった」
藤臣はずっと捨て身で戦ってきたという。いざという時には刺し違えても、そんな思いで戦うのは楽だった。
だが今は、背後に大切な人たちを庇いながら戦わなければならない。
それも、自分の身の安全も確保しつつ……。なぜならこの先何十年も、藤臣には家族を守る義務があった。
「すまない、愛実」
「いえ……謝るなら私のほうです。あなたを頼らずに頑張ろうなんてしたから……」
「いや、だから、それがお互い様なんだ」