愛を教えて ―番外編―
卓巳はブラックデニムのジーンズだった。上はハイネックの黒いセーターと白いジャケット。ネクタイのない卓巳は珍しい。
一方、万里子もデニム地のロングスカートを穿いていた。さりげなくお揃いのセーターを着ているので、万里子にすれば少し気恥ずかしい。
でも卓巳が、
「一度、着てみたかったんだ」
そう言って自ら買ってきた。
嬉しそうに、期待を籠めて見つめる卓巳に断ることはできず……。万里子はペアルックを了承してしまったのだった。
今から行くご夫妻が、このことに気づきませんように……。と、心の中で祈る万里子だった。
しかし――。
「おいおい。藤原……お前、えらい変わりようだな。その歳でペアルックか」
万里子の願いは虚しく、一発で気づかれてしまう。当然と言えば当然かもしれない。
ふたりを出迎えてくれたのはこの家の主人、一条聡(いちじょうさとし)。
卓巳から聞いた限りでは、四十代前半とのことだが……。
一方、万里子もデニム地のロングスカートを穿いていた。さりげなくお揃いのセーターを着ているので、万里子にすれば少し気恥ずかしい。
でも卓巳が、
「一度、着てみたかったんだ」
そう言って自ら買ってきた。
嬉しそうに、期待を籠めて見つめる卓巳に断ることはできず……。万里子はペアルックを了承してしまったのだった。
今から行くご夫妻が、このことに気づきませんように……。と、心の中で祈る万里子だった。
しかし――。
「おいおい。藤原……お前、えらい変わりようだな。その歳でペアルックか」
万里子の願いは虚しく、一発で気づかれてしまう。当然と言えば当然かもしれない。
ふたりを出迎えてくれたのはこの家の主人、一条聡(いちじょうさとし)。
卓巳から聞いた限りでは、四十代前半とのことだが……。