愛を教えて ―番外編―
ふたりとも絶句したが、立ち直るのは万里子のほうが早かった。
『子供ができたから結婚したいの? アビーはなんて言ってるの?』
『アビーを愛してるから結婚したいんだ。彼女は……僕に迷惑をかけたくないから、ひとりで産んで育てると言ってる。両親にはまだ話してないって。だから……必ず承諾をもらって迎えに行くって伝えた。全部、僕のせいなんだ。大学は辞めて働く。必要なら、太一郎叔父さんみたいにこの家を出てもいい。だから……』
卓巳はすっくと立ち上がると、必死で頭を下げる大樹の胸倉を掴み立たせた。
『おまえが頭を下げる相手は私たちじゃない』
『もちろん、わかってる』
『まあ、私ならショットガンを用意するところだが……。ジェイクなら……たぶん大丈夫だろう』
『……』
『万里子、宗に連絡して飛行機をチャーターさせてくれ。ああ、すぐに戻るから君は来なくていい。――大樹、一生の問題だ、もう一度確認するぞ。アビーと子供のためなら死ねるか?』
『いつでも死ねる!』
即答した大樹に卓巳は怒鳴りつけた。
『馬鹿者っ! 生き抜くために使えるものはなんでも使え。簡単に家を出るだの大学を辞めるだの、子供じみた考えは捨てるんだ』
その夜のうちに卓巳と大樹はロンドンに出発し、翌日、結婚が決まったと連絡があったのだった。
『子供ができたから結婚したいの? アビーはなんて言ってるの?』
『アビーを愛してるから結婚したいんだ。彼女は……僕に迷惑をかけたくないから、ひとりで産んで育てると言ってる。両親にはまだ話してないって。だから……必ず承諾をもらって迎えに行くって伝えた。全部、僕のせいなんだ。大学は辞めて働く。必要なら、太一郎叔父さんみたいにこの家を出てもいい。だから……』
卓巳はすっくと立ち上がると、必死で頭を下げる大樹の胸倉を掴み立たせた。
『おまえが頭を下げる相手は私たちじゃない』
『もちろん、わかってる』
『まあ、私ならショットガンを用意するところだが……。ジェイクなら……たぶん大丈夫だろう』
『……』
『万里子、宗に連絡して飛行機をチャーターさせてくれ。ああ、すぐに戻るから君は来なくていい。――大樹、一生の問題だ、もう一度確認するぞ。アビーと子供のためなら死ねるか?』
『いつでも死ねる!』
即答した大樹に卓巳は怒鳴りつけた。
『馬鹿者っ! 生き抜くために使えるものはなんでも使え。簡単に家を出るだの大学を辞めるだの、子供じみた考えは捨てるんだ』
その夜のうちに卓巳と大樹はロンドンに出発し、翌日、結婚が決まったと連絡があったのだった。