愛を教えて ―番外編―
「まあ、今は昔ってヤツだな。お互い歳を取るはずだ」


 しみじみと言う美馬の視線の先に目をやりながら、卓巳もうなずく。


「ああ……そうだな」



年長組とは別に、藤原家の下三人と美馬のひとり娘・忍、宗の三女と長男、という中高生組の姿があった。

いつもなら一条弁護士の末娘も一緒なのだが、今日は真ひとりで花婿の友人として参列している。 


「一条先生のお宅も色々あるみたいだな」

「どこも似たようなもんだ」


一条家の長男・悠と美月の法律上の結婚で、姻戚関係になったが……。それは手放しで喜べる結婚ではなかった。

そのとき、ドキリとするような話題が卓巳と美馬の耳に飛び込んできた。


「やっぱりウエディングドレスっていいわね。娘をお嫁に出すときが楽しみだわ」

「ええ、本当に」


万里子と美馬の妻・愛実(いつみ)だ。


「ああしていると本当に仲がいいから……うちだとお嫁にきても近いわよ。まだ四人いるし」

「忍は結人くんが好きみたいなの。でも、バレンタインにチョコレートを渡しても、全然脈なしなんですって。春から高校生だから、素敵なボーイフレンドが欲しい年ごろよねぇ」


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