愛を教えて ―番外編―
「なんと言いますか……親子ですねぇ」

「宗!」

「失礼しました。すぐに止めて参ります」


心底困ったというより、宗は可笑しくて堪らないようだ。
 

ふいに卓巳の胸に初めて万里子に口づけた誓いのキスが甦った。

あのキスの味は二十年……五十年……いや、生まれ変わっても忘れることはないだろう。

何千回何万回キスを重ねても、人生で特別な日のキス。


(まあ……大樹は私より先に色々経験してしまったようだが……)


「いや、好きにさせてやれ。人生はそれほど甘いもんじゃない。あとで思い切り恥を掻くのも、まあ、いい勉強になるだろう」


宗の肩に手を置き、“大きな”愛情を込めて卓巳は引き止めた。



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