愛を教えて ―番外編―

「宗、私に合わせる必要はないんだぞ」

「いえ……予定外です」

「まあ、いいじゃないか。四人姉妹も可愛いもんだ」

「そんな恐ろしいことを言わないで下さい。いい加減、私も味方が欲しいですよ」


宗の場合、家中がピンクやハートに埋め尽くされているのだという。彼は真剣に男の子を希望していた。


「無理だな。四人続くのが運命だ」

「ひょっとして、また男の子だったんですか？」

「……」


懸命に笑いを堪える宗を横目で見つつ、卓巳は話を逸らせた。


「東部日本グループの台頭が著しいな。アメリカの市場を食われんようにしろ」

「美馬は常務もそうですが……副社長も中々厄介ですよ」

「知ってる。常務のほうは同じブロックに引っ越してきた。上ふたりが同級で……嫁さんたちは子供会で仲良くやってるらしい」