愛を教えて ―番外編―
かつては藤原に匹敵する勢力を誇った美馬グループだが、四年前にインサイダー取引で会長が逮捕され、グループは崩壊した。
今は一族経営とは言い難いが、主力の貿易部門を東部日本グループとして立て直しつつある。
「早めに叩きますか?」
「攻める必要はない。ただ、足もとは掬われるな」
今更、十五年も昔の因縁を持ち出すほど子供(ガキ)ではない。PTAで顔を合わせたときには余裕を見せてニッコリ笑ってやろう。
第一、会社の規模も子供の数も卓巳の“勝ち”だ。
万里子が聞いたら怒りそうなことを考えつつ……。
「美馬常務にお会いになられたんですか?」
「いや」
「秘書の瀬崎さんには?」
「会ってはいないが……どうしたんだ」
「いえ、驚きますよ。瀬崎氏の奥様に会われたら……」
思わせぶりな宗の言葉に首を捻る卓巳であった。
今は一族経営とは言い難いが、主力の貿易部門を東部日本グループとして立て直しつつある。
「早めに叩きますか?」
「攻める必要はない。ただ、足もとは掬われるな」
今更、十五年も昔の因縁を持ち出すほど子供(ガキ)ではない。PTAで顔を合わせたときには余裕を見せてニッコリ笑ってやろう。
第一、会社の規模も子供の数も卓巳の“勝ち”だ。
万里子が聞いたら怒りそうなことを考えつつ……。
「美馬常務にお会いになられたんですか?」
「いや」
「秘書の瀬崎さんには?」
「会ってはいないが……どうしたんだ」
「いえ、驚きますよ。瀬崎氏の奥様に会われたら……」
思わせぶりな宗の言葉に首を捻る卓巳であった。