愛を教えて ―番外編―
「は? 僕好み?」

「人に見られるかもしれない場所で、なんて。卓巳さんに嫌われたくないけど……でも、どうしても耐えられないの」


万里子の言葉に卓巳は仰天した。

とくに人に見られたいとか、見せようと思ったことなどない。ただ万里子がいるだけで、ところ構わず戦闘態勢に入ってしまうだけである。


「僕の好みは万里子だよ。いや、僕のとって女性は君ひとりだ。場所なんてどうでもいいんだ」

「じゃ……ここでも?」

「え!? い、いいのかい?」


万里子を怒らせてしまったと、落ち込んでいた卓巳の心は一気に浮上した。


「あの、卓巳さん。はしたないって思わないでくれますか?」


うつむき、頬を染める万里子が堪らなく可愛らしい。とても一児の母とは思えない愛らしさだ。


一方、こちらも一児の父とは思えぬはしゃぎようで、万里子を抱き上げ湯船に入る。


「思うわけがないだろう! 君の嫌がることはしたくない。でも、興奮すると訳がわからなくなる。そんなときは叱ってくれていいんだ。できれば、どこまでならOKなのか……教えて貰えたら助かる。その……よそで学んでくるわけにはいかないからね」


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