愛を教えて ―番外編―
(デートなんて、どこに行くつもりだろう?)
午前中いっぱい、久しぶりにグッスリ眠った。卓巳は遅めの朝食と早めのランチをまとめて食べ終えたあと、そんなことを考えていた。
そして万里子に手を引かれ向かった先は……。
裏庭にある“離れ”だった。
「万里子? デートってこんな近くでいいのかい?」
「ええ、結婚式の日、卓巳さんにキスしてもらったところだし……。去年もよくここでデートしたでしょう?」
言われて見れば確かに。
もともとが忙しい卓巳である。デートだからといってそう簡単に遠出はできない。婚約前の一時期、交際の実績を作るためにせっせとデートに励んだが……。その時間をひねり出すのはかなり大変だった。
結婚後、少しでも万里子との時間を持とうと、ビジネスランチ以外はほとんどこの家に戻り、一緒にランチをとった。
だがそれも、あとから聞いた話では少し様相が変わってくる。
いつ戻るかわからない卓巳のために、万里子のほうが合わせてくれていたという。毎日、途中で大学から戻り、卓巳を待ってくれていたのだ。
ランチを食べるという、ただそれだけのために。
午前中いっぱい、久しぶりにグッスリ眠った。卓巳は遅めの朝食と早めのランチをまとめて食べ終えたあと、そんなことを考えていた。
そして万里子に手を引かれ向かった先は……。
裏庭にある“離れ”だった。
「万里子? デートってこんな近くでいいのかい?」
「ええ、結婚式の日、卓巳さんにキスしてもらったところだし……。去年もよくここでデートしたでしょう?」
言われて見れば確かに。
もともとが忙しい卓巳である。デートだからといってそう簡単に遠出はできない。婚約前の一時期、交際の実績を作るためにせっせとデートに励んだが……。その時間をひねり出すのはかなり大変だった。
結婚後、少しでも万里子との時間を持とうと、ビジネスランチ以外はほとんどこの家に戻り、一緒にランチをとった。
だがそれも、あとから聞いた話では少し様相が変わってくる。
いつ戻るかわからない卓巳のために、万里子のほうが合わせてくれていたという。毎日、途中で大学から戻り、卓巳を待ってくれていたのだ。
ランチを食べるという、ただそれだけのために。