愛を教えて ―番外編―

実践編

シーンとした室内にひとり佇み、卓巳は疲れたようにベッドに腰を下ろした。


(どうして……こうなるんだ)


こんなビデオのひとつやふたつ、宗なら……いや、普通の男なら、女性をベッドに連れ込むきっかけに利用するだろう。

それが、


「初めて見たアダルトビデオに動揺して、なんて……言えるわけない」


思わず言葉に出して、卓巳は大きなため息をついた。
 

「ほんとうに?」


入り口の扉はキィと小さな音を立て、そこに万里子が立っていた。


「万里子……戻ってきてくれたのか?」

「私から誘ったデートですもの。話し合えば……卓巳さんもわかってくださると思って」


卓巳をみつめる万里子の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいる。そして、頬はピンク色だった。

おそらく、ビデオほどのことはできないが、騎乗位を試すぐらいで卓巳が妥協してくれないか、そんなことを話し合おうと戻ってきてくれたのだ。


「私……あまり、乱暴なことはして欲しくないんです。その……叩かれるのは、ちょっと」


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