愛を教えて ―番外編―
ベッドから、万里子の声はそれ以上聞こえなかった。

卓巳の口がストップさせたせいだ。

冷たくなった彼女の指先や頬、耳まで、あっという間に熱を帯びてくる。それは卓巳も同様だった。


「卓巳さんの指って温かい……」

「心が冷たいせいかな?」


すると万里子はクスッと笑い、


「そうですね。ヤケドしそうなほど」

「僕はドライアイスかい?」

「いやだ……卓巳さんたら。でも、卓巳さんになら何をされても平気。私、耐えられると思います。あなたの妻でいられるなら……」


本当に怖がらせたのだ、と卓巳は心から反省しつつ、


「いや、本当に試すのは騎乗位だけでいいんだ。その、君の綺麗な肌を傷つけるようなことは、考えてもいないから」


真剣なまなざしで告げる。

すると、万里子も真剣な目をして、


「あの……卓巳さん。騎乗位ってどうやればいいんでしょうか?」


そう尋ねたのだった。


< 86 / 283 >

この作品をシェア

pagetop