愛を教えて ―番外編―
「どこか痛いところはないかな?」

「いえ……平気ですけれど」

「じゃあ、ゆっくり起き上がるから」

卓巳の言葉に万里子も神妙な表情でうなずく。

ビデオの中年男は難なく起き上がっていた。女子高生もどきも、それほど工夫を凝らしていたようには見えない。

実に簡単なことに思えたのだが……。


「あっ。やっ……ヤダ、卓巳さん。毛布を剥いでしまわないで」

「わ、悪い。ちょっと待ってくれ」


座ると当然、毛布がふたりの身体から滑り落ちる。

あっという間に、繋がった場所が露わになってしまうのだ。

しかし、毛布を気にしてモタモタしていると、なかなか起き上がれない。

結果、「ごめん、万里子。また抜けてしまった」というのを繰り返し……。



真昼の“離れ”、客用寝室でチャレンジを始めて約三十分――。


卓巳の下半身はとうとうギブアップしてしまったのだった。


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