愛を教えて ―番外編―
「……ごめん……」


卓巳がベッドにうつ伏せになったまま、何度目かの謝罪を口にしたとき、万里子の手が彼の髪に触れた。


「どうして、謝るの?」


優しく撫でながら、万里子は尋ねる。


「僕が試したいって言いながら……ごめん」


それ以上は言いようがなかった。何を言っても言い訳だ。いい加減、呆れられた気がする。

卓巳の身体を気づかって、休みを取らせデートに誘ってくれた万里子を振り回しただけだった。


本当なら卓巳が気づかい、もっと甘くロマンティックなデートを演出するべきなのに……。


(でも、具体的には何をすればいいのか、全然わからない……)


果てしなく沈みかけた卓巳の心に手を差し伸べてくれたのは、やはり万里子だった。


「今度は……夜に、お部屋を真っ暗にして試しましょうよ。そうしたら、毛布がなくても恥ずかしくないし……上も脱げるから」

「え? また、一緒に試してくれるのかい?」


< 91 / 283 >

この作品をシェア

pagetop