愛を教えて ―番外編―
それが夫婦の身体を使った対話であると彼はすぐにわかった。

だが、ソフィは気づかないらしい。


『ねえ、ジェイク、なんだか変だわ。押し殺したような……妙な声がしない? きっと奥様に何かあったんだわ!』


言うなりドアに手をかける。

卓巳が内側から鍵をかけた様子はない。ノブを回せばすぐに開くだろう。しかしそれは……。


『待って。それはマズイ。ソフィ、落ちつくんだ』

『何を言ってるの? 手遅れになったらどうするの? まさか……オーナーが奥様のことを』


言いながらソフィは青褪めている。

どういった想像をしているのか、確認してみたいくらいだ。


『落ちつこう……頼むから、少し落ちついてくれ。それにこれは……多分』

『ジェイク? 何か知ってるの? ねえ、はっきり言ってちょうだい』

『いや、だから、その……』


ジェイクが弱り果て、口をつぐんだ瞬間だった。


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