愛を教えて ―番外編―
ほんのわずか、ソフィがノブを回してドアに隙間ができてしまう。


「あ、あ、あっ……ん。卓巳さ……んんっ!」


それは誰でもわかりそうなくらい……そのときの万里子の声。


さすがのソフィも気がついたのだろう。一瞬で真っ赤になり、ドアノブから慌てて手を放した。その仕草に、ジェイクの血圧は一気に上がる。

ソフィの手を掴み、ジェイクは力任せに引っ張った。


『きゃっ』


よろけて、ソフィはジェイクの胸の中に転がり込む。

そのまま、ふたりの唇は重なっていた。



ジェイク・フォレスター、二十九歳。金色の巻き毛とブルーアイズ。身長は英国人男性の平均くらいか。中流階級(ミドルクラス)の家庭で育ち、学歴も悪くはない。当然、女性にモテないわけはなかった。

だが、これまであまり女性に積極的ではなかった。

理由は、この軽薄なルックスと口調に起因する。

女性たちはジェイクに過大な期待を寄せる。しかし彼は、ルックスから想像させるほど、女性との付き合いに長けてはいなかった。


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