愛を教えて ―番外編―
ソフィ・カーライルは万里子より三歳年上の二十五歳。

彼女は三年前、結婚を意識した恋人に、孤児を理由に捨てられた。それ以来自信を失くし、結婚にも恋にも臆病になっている。


その恋人は、中々身体を許そうとしないソフィの左手に指輪をはめた。

早く結婚して子供が欲しいと思っていた彼女は、彼の求婚を受け入れ、一夜を過ごしたのである。

だが、結婚前のセックスは彼女にとって大きな罪悪感を与えた。楽しむことはおろか、精神的にも肉体的にも苦痛の伴う行為で……。


初めて身体を許した翌日、ソフィは彼に呼び出された。そこは一流ホテルのラウンジで、彼女を待っていたのは彼の両親だった。

驚くソフィに彼らは、孤児との結婚は認めない、と宣言したのだ。

ソフィは俄に信じられず、やっとの思いで彼と会うが……。

未来の夫と信じた男性は悪びれることもなく、『君とのセックスはよくはなかったし、やはり孤児を妻にはできない』そう答えたのだった。


それ以来、ソフィはデートもせず仕事一筋に過ごしてきた。



ソフィは気持ちを切り替えると、目の前の薄く開いたドアをソッと閉める。そして、急いで廊下側のドアに向かった。


< 99 / 283 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop